encyclopedia 名詞 <kuklos>10 <*pau- 表2>6
=========* 註 *=========
encyclopedia 「百科事典」 は、ギリシャ語 egkuklios paideia に由来する。 egkuklios は、分解
すれば [ eg- = en- (中に) + kuklios (円形の) ] となり、 「円運動のように周期的に繰り返される, 特別のときに必要とされるのではなく通常の
場合のための, 日常の, 一般的な」 という意味である。
この語を、 paideia (子供の養育, 教育, 教養) と組み合わ
せた egkuklios paideia は、 「専門教育に先立つ一般的教育」 のことである。万遍無い一般教養を人格形成の基本とする考え方は、ギリシャ的
教育の理想としてヘレニズム期に広く普及した。中世のキリスト教世界においても、初等三科 (文法, 修辞, 論理) と高等
四科 (算術, 幾何, 天文, 音楽) の 「自由教養七科」 が egkuklios paideia として尊ばれた。 egkuklios paideia は、中世
ラテン語 encyclopedia を経て英語にも借入されたが、当初の意味は 「学問知識全般」 「教育全般」 であった。
“encyclopedia” を 「百科事典」 の名前として最初に用いたのは、トム・マッカーサー 『辞書の世界史』 (三省堂)によれば、次の二書である。
両書は、今日の基準で真に百科事典的と認められる構成でその情報を整理している最初のものでもあるという。
Ephraim Chambers. 1728.
Cyclopaedia, or Universal Dictionary of Arts and Sciences. (エフライム・チェインバーズ 『百科事典…学芸及び科学の汎用辞典』 )
Denis Diderot. 1751-1772. L’Encyclopedie, ou dictionnaire raisonne des scienes, des arts et des metiers.
(ドニ・ディドロ 『百科全書…科学、学芸及び工芸の合理的辞典』 )