meter (1) 名詞 <*mē- 表2>1
=========* 註 *=========
ギリシャ語 metron とは韻律、すなわち詩のリズムのことである。ギリシャ語の詩は、長短の音節を組み合わせた一まとまりを単位とする。
この単位は詩脚 (pous, pod-) と呼ばれるが、詩脚を重ねて一行を作り、一行を重ねて詩をつくる。
それぞれの詩脚が反復されることで独特の韻律ができる。例えば、短短長の三音節から成る詩脚をつなげていくと、勇ましい行進曲風のリズムを持った詩を
作ることができる。
韻律を意味するギリシャ語 metron は、物差しや秤などの計測器具のことでもある。韻律と計測器具の共通点は「数える」という点であろう。
韻律は、本来は内面から自然に沸き起こるものであろうが、意識的に詩を作るためには、詩脚を数え、韻律を整えることが必要になる。
一方、計測器具を使うということは、目盛や単位を数えることである。つまり、韻律のある詩とは、詩脚という単位によって計測された詩ということである。
(私たちも和歌や俳句を作るときには、五七五と数えますよね。)
metron (韻律)は、ラテン語を経て英語にも借入された。英詩の韻律の単位、すなわち詩脚は foot と呼ばれ、
強弱の音節の組み合わせから成り立っている。foot が幾つか重ねられた一行が meter である。