scissors 名詞 caedere 表1>13
=========* 註 *=========
英語 scissors 「はさみ」は14世紀後半に古フランス語から借入されたが、綴りは sisoures, sysors, cysars など 多様なものが使われていた。sc で始まる綴りが現れたのは16世紀で、その理由ははっきりしないようであるが、有力な説に、 「仕立て屋 (tailor)」を意味する中世ラテン語の scissor が、「はさみ」と語源を同じくすると誤解され、 「はさみ」の綴りはscissor に見合ったものにするべきだとして「訂正」された、というものがある。 仕立て屋にとって「はさみ」は最も大切な商売道具の一つであり、また、古典ラテン語で scissor は、 「分ける人、切る人」を意味したから、生地を「切ったり、分けたり」する仕立て屋は、「はさみ」と連想されやすかったのである。 正しい語源に沿った単純な綴りもあったのに、 勘違いが生んだ複雑な綴りがそれらを駆逐してしまい、その結果、覚えにく間違いやすい綴りの筆頭格にあげられる語として、 scissors 「はさみ」は、今日の我々を少々悩ませている、ということなのかもしれない。

なお、「古典ラテン語で scissor は、『分ける人、切る人』を意味した」と述べたが、この scissor のもとになった 動詞は scindere で、この語に由来する英語で、基本語といえるものは rescind である。