viper 名詞 <*gwei- 表2>7 <parere>11
=========* 註 *=========
英語 viper は多くの英和辞典で「クサリヘビ」「マムシ」とされている。また、一般的に毒蛇を指す時にもこの語が使われ
るのは、 viper がイギリスに生息する唯一種の毒蛇であるためらしい。
viper の語源であるラテン語 vīpera は、vīvipera (マムシ)が短くなったもの
で、vīvus (生きている) と parere (生む)から成り立っている。これは、マムシが卵胎生 (ovoviviparous) なので、
母体から卵ではなく、体内で孵化した「子マムシ」が生まれるのを、「生きているものを生む」ととらえたためだといわれている。更にここから、
マムシは母親の腹の中でその肉を食って育つ、と信じられるようになり、ラテン語では「お前はマムシをわきの下で飼っている」ということわざが生まれた。
「恩を仇で返すようになる人物をそれとは知らずに養っている」という意味である。
viper が「母を殺して生まれる」という考えは長いあいだ広く信じられていたようで、
シェイクスピアの "Pericles" のなかには、"I am no viper, yet I feed on mother's flesh which did me breed.
(私はマムシではない、しかし産みの母の肉を食べて生きている。)"という表現がある。また、ラテン語 vīpera の、
「恩を仇で返すような陰険な人物」という比喩的な意味は、英語にも受け継がれている。