=====用語解説=========ラテン語 から
=========*(ローマは)文化的には大きく深くギリシャに依存した。このことは、前一世紀の詩人ホラティウスの、「占領されたギリシャは
野蛮な勝利者をとりこにし、野卑なラティウムに技芸をもたらした。」
という有名な言葉によっても語り継がれることになった。*=========
ホラティウスの言葉の中の「技芸」は詩の技法のことだったが、この言葉はもっと広く解釈されて、ラテン文化における
ギリシャ文化の恩恵を語るときにも使われている。
ギリシャからもたらされた「技芸」のなかで、今日の英語学習者に直接関連する恩恵を与えているものは、文法ではないだろうか。
私たちが何とか英語を使えるようになった要因としては、S+V で始まる五文型をきちんと教えられた事が大きい。英文法の中軸にあるこの五文型を
理解するには、英文を品詞に分解できなければならない。この品詞という考え方は、ギリシャ語からラテン語に伝えられた「技芸」の一つなのである。
「品詞」は、英語では parts of speech である。これはラテン語の partes orationis の直訳であるが、このラテン語も、ギリシャ語
mere logou (文の諸部分) の直訳なのである。また、verb、noun、adjective、
participle など、私たちが日常的に使っている英語の文法用語は、ラテン語を借入したものであるが、
それぞれのラテン語はギリシャ語を直訳したものなのである。
広大な領土を治めるためには、すべての人民に間違いなく理解させる文章を書かなければならない。そのためには、自分たちの言語をゆるぎないものにすること、
すなわち、確固とした言語の規範をもつことが重要であると考えたローマ人は、征服した民の文法を大胆に取り入れることでこれを実現したわけである。