ラテン語を母胎として生まれた、イタリア語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語、ルーマニア語などのこと。
古代ローマがその版図を拡大していくのに伴い、ラテン語も広大な領土の隅々にまで広がり浸透した。知識人の書き言葉ラテン語が、文法を整え文体を磨いていったのに対し、
話し言葉としてのラテン語は各地の土着の言葉と交じり合い徐々に方言化した。その過程は複雑で多様であり、それぞれの方言がラテン語とは別の言語になったとされた
時期も異なる。
813年、トゥールの宗教会議で、「説教はもはやラテン語ではなくローマーニアの、あるいはゲルマーニアの俗語でおこなうべし」という決定がなされた。この時までに、
学識者が使う教会公用語としてのラテン語が、一般の民衆に通じなくなっていたことが公式に確認されたことになる。