〈表1〉 ラテン語 ped-, pes (foot)
=========* 註 *=========
「ラテン語 ped-, pes(foot)」という標題を見て、ラテン語で「足」は ped- なのか、 pes なのか、それにしてもped- って単語なの?という疑問を持った人も多いと思う。

複雑な語形変化で知られるラテン語では、名詞さえもが複雑に変化する。「足」を意味する名詞は、主格では pes だが、ほかの活用形では、 属格(所有格) pedis、対格(目的格) pedem というように、ped を含む綴りになる。この部分を語幹といい、普通 ped- と表示する。 英語の綴りに影響を与えているのは語幹 ped- である。

ラテン語辞書では見出し語は主格 pes である。そのため語形変化の規則を知らないと、英語の ped の綴りからラテン語辞書を引くことはできない。 英語学習をきっかけにしてラテン語に関心を持つ人もいると思うので、ラテン語辞書を調べるときの便宜のためにも、ped-, pes という表示にした。 多くの英語辞書の語源記述においても、このように二つの形が併記されている。

なお、「ラテン語では名詞さえもが複雑に変化する」ことを知っていた人も、英語の名詞もかつては複雑に活用したといったら、驚くだろうか。 興味をもたれた方は 英語史の初歩 そのⅠをご覧ください。