=====用語解説========= グリムの法則 Grimm's law
印欧祖語 から
ゲルマン祖語 が分離したときに、印欧祖語の子音の幾つかが変化した。
この変化が規則的であることを最初に指摘したのはデンマーク人ラスクであったが、詳細な研究によって体系化したのが、民話の収集でも名高いドイツ人言語学者
グリムである。
下の表に見られるような子音変化の法則を、一般にグリムの法則という。
上掲表でもわかるように、ラテン語は印欧祖語の子音をほぼ保存している。英語の子音と、対応する印欧祖語の子音の違いは大きいようにも見えるが、
多くの語に見られる規則的変化であるため、この変化はゲルマン語が印欧語族の一員であることの証左にもなっている。
ところでドイツ語では、2は zwei で、3は drei である。ドイツ語はゲルマン語であるはずなのに、グリムの法則通りに変化
しなかったのかと疑問に思う人も多いかもしれない。ドイツ語では、先に見たような変化があったあと6世紀から9世紀ころに、第二の大きな子音変化が起こった
のである。ドイツ語 zehn (英語 ten)、Bruder (英語 brother)、tief (英語 deep)などにも
見られる、英語の子音との違いは、この第二の変化によるものである。なおこの変化を第二子音推移、最初の変化を第一子音推移と呼ぶことがある。