一般に、俗ラテン語とは教育のない民衆のラテン語で、ロマンス諸語 の基礎となったと、説明されるようである。
長い年月をかけて成熟した古典 ラテン語 が、知識人の公的な書き言葉であり、これは確立された完成形として教育
を通して継承される。これに対し、話し言葉は知識人のものであっても、必ずしも書き言葉の規範にとらわれないし、教育のない層のものなら、
古典ラテン語とはあらゆる面で様々な隔たりがある。しかも話し言葉は生きていて、変化しやすい。また知識人と無教育層の間も絶えず接触があるのだから、
それぞれの話し言葉は相互に影響を受ける。丁寧に考えれば、「俗」なラテン語とされる内容もかなり複雑そうである。